溢れ出た感情
リハビリテーション病院に入院して2回目の面談のため病院へ向かいました。
この日も弟、義姉、母、私が病院に向かいました。
私たちは病院に到着するといつもロビーで兄が来るのを待っていました。
私は到着するといつもトイレに行くのですが、トイレからロビーへ戻ると兄が来ていました。
その日は、みんなの顔を見ると、「あ!」と言って、ワーッと感情があふれ出すように泣いたそうです。
7月の中頃から弟や義姉から兄がよく泣くようになって心配でとまどってしまうと話は聞いていました。
パズルと写真を貼った箱
この日、私は兄に簡単な木でできたパズルを手作りの箱に入れて持って行っていました。
パズルは左手で目まぐるしい速さでやってしまいました。
考えずに感覚でするという感じでした。
パズルにはあまり意味を感じませんでした。
着目したのが手作りの箱でした。
みんなで写した記念写真や、子供の写真を切り抜いてペタペタ貼り付けていました。
兄は箱を見ると写真を指さして「ここ!」と訴えていました。
みんながなんとか分かりたいと一生懸命耳を傾け、兄が「ここ!」と指さした写真は誰だね。ここは私の家だねとか言ったりしたのでが、兄が伝えたいこととは違うみたいで、最後まで分かってあげられず、途方に暮れてしまいました。
失語症の苦難を目の当たりにして
「なんとか分かりたい、兄が一生懸命訴えていることを。」
そう思い一生懸命聞くのですが、どうしても分からないのです。分からないという表情をすると兄ががっかりするのだろうか。気落ちしてしまうだろうか。諦めて絶望してしまわないだろうかと、最後には分かったような顔をしてごまかしてしまいました。
これではダメだ、全然意思疎通が出来ない。何とかしたい。兄は一人で苦しんでる。
このままでは、間違いなく兄は潰れてしまうだろう。
分かってあげたい。気持ちを伝えられないストレスを少しでも取り除きたい。
そんなことを考えました。
コミュニケーションツールとして
試行錯誤してこのような物を作ってみました。
もともとExcelなど苦手な方なので、苦戦しながら作成しました。
次の9月の面談の際に兄に渡しました。
家族構成図は重宝したと自画自賛しています。
言語聴覚士の方にも助かると使っていただけました。
マスキングさせていただいた部分には漢字名と呼び方を記載しています。
兄と会話するとき、次は何の時間か、何のリハビリをした、などの会話をするときに使えるかと作製しました。
なぜ子供が面会に来ないのか、会社の方々に一度も会えないのか、兄に伝えるために作成しました。コロナのせいであって、兄が忘れられているわけではないことをどうしても伝えたかったのです。
会社の方々からは応援の写真をいただいていましたので、そちらを添付させていただきました。
今回ブログ掲載にあたり、顔を加工させていただいております。下手な加工で申し訳ありませんが、何卒ご容赦願います。
その他には家の中の様子や、子供の様子をまとめたものを作成し、ファイリングしました。
一番役に立ったのは最初の家族構成図でした。
入院生活を支えたもの
コロナの影響で他の入院中の方々と接する機会はありませんでした。そんななか、看護婦さんやスタッフの方々が話しかけていただいていたそうです。
このような辛くて孤独な入院生活をささえたものは、義姉、弟の週に一度の面会だったと思います。
弟は兄の携帯から、兄と繋がっていた友人の方々へ連絡をとりました。
そして兄とビデオ通話をしていただいたりしました。
また、会社の方々からの応援メッセージを届けたり、送っていただいた写真を見せたりして、兄のメンタルを支えました。
義姉も兄の元に行ったときは兄が涙してしまい戸惑い辛かったと思いますが、ビデオを撮り私たちに様子を伝えてくれました。
コメント
兄は良くも悪くも自己中心的(自己チュー)でした。発症前も良く飲みに行ったりしたのですが、決まって連絡があるのは暇な日の夕方だったりして。じゃあ行こかって事になっても、やっぱ別の飲み会が入ったから悪い!なんてドタキャンも珍しくなく、振り回されっぱなしでした。
そんな自己チューな兄が、今は自分が会いに行くと大層嬉しそうにし、次に会いに行く日を楽しみに待っています。それはそれで嬉しいのですが、以前の自己チューな兄に戻ってほしいとも思っています。今日は忙しいから来るなよ、なんて言われるようになったら完全復活ですね!