脳出血発症から2週間後

6月18日 先生から兄の回復が良くないとの連絡


先生が体を揺すって起こすと目を覚ますものの、すぐに寝てしまうとのことでした。コロナの影響で面会も出来ない中、そのようなことを聞いて、不安が募るばかりでした。

6月23日、弟と義姉と病院へ行きました。

コロナの影響により兄に会えるのは、先生の説明を聞いた後の少しの時間に限られていました。

説明を聞くため、まず先生の部屋へ案内されました。

途中、脳に損傷を受け、目をつむり口を開け、寝ている他の患者の方が目に入り、とても不安になりました。兄もこんな風に寝ているだろのか・・・とても怖くなりました。

説明の部屋のすぐ手前に看護婦さんたちがいらっしゃり、その横に兄がいるのが目に入りました。

ベッドの背を起こされたまま寝ていました。兄も寝ている・・・。
すぐに声を掛け近くに行きたいような、一方で今までの兄と違う様子に戸惑い、複雑で不安な気持ちを覚えました。

そんな兄を後目に、先生の部屋へ案内され説明を聞きました。
出血し炎症した部分が発症時より小さくなっている写真を見せていただきました。

兄が脳出血を発症した原因

私も弟もなぜ健康な兄が脳出血を発症することになったのか見当がつかなかったため先生に聞きました。様々な検査をされたそうですが、決め手になるような原因は出てこなかったそうなのです。

私は加えて、脳動静脈奇形はなかったのか聞きました。
それについても調べましたが、ありませんでしたとのこと。

弟は新型コロナウイルスが脳卒中を発症させる一因となることを調べていたようで、新型コロナウイルスに感染していなかったのか聞きました。
それについても検査をしましたが、陰性でしたとのこと。

会議中に発症したと聞いており、ネットなので調べると、働き盛りの男性が会議中に発症しているケースが目についたため、会議と何か関係するのか聞いてみました。

先生は、会議で一時的に血圧が上がったことは一つの要因として私も考えましたとおっしゃっいました。

普通に健康な人でも、一時的に高血圧になることで、発症してしまうことがあるのだと、初めて知りました。誰でも起こりうる病気ということなのでしょう。

説明を一通り聞き、兄の元へ行きました。

私が泣かないようにしなければ、兄は起きてくれるのか?元気づけたい。そんな気持ちで兄の元へ

3人で、兄の元へ行くと、兄は目を覚ましました。

「お兄ちゃん、起きな!寝てばっかりあかん!起きて!」と言うと、こっちを見て少しニコッとしました。

声かけに応じて笑ってくれました。

兄を元気づけるため

私も、弟も兄を励ますため、写真をいろいろ持って行ってました。

まず弟が兄が尊敬する先輩の写真を見せると、兄は食いついてジーッと見て視線を逸らしません。
次に子供たちの写真を見せると涙が一筋頬を伝いました。

私はすかさず、「こんなこともあろうかと用意していたのだ」と得意げに、父の昔の水着姿や、兄のご友人の目が半目になっている写真や、私が写真を取るのに必死な横顔など、見せました。

兄は、見せる度、笑いました。顔の右半麻痺がこの時は今よりも強かったので、左半分で笑ってました。父やご友人の力もお借りして笑わすことが出来、とても嬉しいのと、ほっとしたことを覚えています。
よかった、やっぱり兄だ!大丈夫、意識もしっかりしている!

兄の結婚式で新郎新婦をカメラに収めようと必死の私の横顔を誰かに撮られていた写真。

平仮名の見え方

次に指差しで意思疎通を図れるフィンガーボードとうい介助などで使われるボードを兄に見せました。

両面の物で、片側にテレビや時計などの絵や、気持ちを表す顔の絵が描かれてます。

まず絵の方から兄に見せました。
「これが暑いとき、これが寒いとき」と言いながら指をさすと、うん、うんと頷いて聞いていました。

次に裏面の平仮名表を見せると、兄の様子が変わりました。
いぶかし気に顔をしかめ、じーっと見るのです。

来る前に見た実際に脳出血になられた方の本を思い出しました。
平仮名が記号のように見えたと書いてあったのです。


すかさず、「これはまだ要らないね!」と取り上げました。
兄が、後遺症の深刻さに気付いてしまって、がっかり来るのが怖かったのです。

時間が来てしまい、「また来るからね」と言って、心配な気持ちを押し殺しながら後にすることにしました。

一度兄の部屋から出て、忘れ物に気付きまた部屋へ入ると兄の目が赤くなっていました。
私たちの前で泣くのを我慢していたのでしょう。出て行ってから涙したのだと思います。

とても身につまされる思いでした。
絶対に一人にしない!絶対、みんなで支えるんだと強い気持ちが沸き上がり、
兄に「またね、またすぐ来るからね!」と言い病院を後にしました。

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