失語症とコミュニケーションの場
失語症の回復は長期にわたり、少しずつ回復するといわれています。
しかし、家の中に閉じこもってテレビばかり見ている生活では、人とコミュニケーションをとるという言葉の大事な機能を使う場がなくなってしまいます。
外出して人と会ったり、趣味活動に参加することで、他の人と通じあいたいという、人としての基本的な心の動きが活発になり、コミュニケーションをとろうとする姿勢が出てきます。
「失語症友の会」
失語症の方々が集まるコミュニケーションの場です。
この会では失語症の方同士お互い言葉につまりながらも、身ぶり手ぶりなど総動員して、なんとかして伝え合おうとしている姿をよく見かけます。このような姿勢は机の上の「言語訓練」ではなかなか得られないものです。
生活をしながらいろいろなことに挑戦していると、気が付いたらコミュニケーションの力が上がっていたということがよくあります。
仲間とのふれあいや、趣味などの楽しみ、大変だけれど何とか気持ちが通じるという体験を積み重ねていくと心が元気になり脳全体が活発に働くからではないかと思われます。
参考図書:失語症の人と話そう NPO法人言語障害者の社会参加を支援するパートナーの会 和音
コロナ禍と失語
コロナ禍の現在ではこのような集まり、会話をする機会が減っています。
そんな中で、どのように仲間とふれあい、気持ちを通じさせる機会を作ればいいのでしょうか。
ビデオ通話
弟から「兄にビデオ通話した?」と聞かれました
- 私:「まだしてない。」
- 弟:「俺は今日30分話したよ。」
- 私:「何を30分も話すの?弟の場合はいろいろ話すことあるのか。」
- 弟:「いや、ずっと話している訳じゃないから・・・。」
- 私:「・・・。え?」
- 弟:「見つめあったり・・・。」
- 私:「恋人か!!」一応つっこみました。
でも、顔を見るだけでもいいと思う。
実際に会えれば会話は無くてもそんなに気にならないのですが、ビデオ通話になると、何話そう、何か話さなくちゃと思ってしまうんですよね。
それで、ついつい電話が後回しになってしまうんです。。。
私もその後兄にビデオ通話しました。
- 私:「今日はどうだった?」
- 兄:「ね。」
- 私:「元気そうだね」
- 兄:「うん。」
- 私:「何か欲しいものある?」
- 兄:「うーん、・・・。無いね。」
- 私:「そっか、少し頬がふっくらしたんじゃない?」
- 兄: 頬を触る
- 私:「病院の食事より、家の食事がいいよね。」
- 兄:「だね。」
このような会話をして電話を切りましたが、5分も話してないと思います。
長さは関係なく、定期的に誰かと顔を見て話をすることは、きっと兄のモチベーションアップに繋がっていると思います。
兄は明るい表情を見せてくれました。
コロナ禍で兄とコミュニケーションを取れる場をいろいろと模索していきたいと思います。
どなたか何かいいアイデアおありでしたら、是非アドバイスをよろしくお願いいたします!!
1月25日 兄の様子
兄はデイサービスから帰って来て、義姉が「どうだった?」と聞くと、「えーっとね、うんと・・・。」「疲れた?楽しかった?」と聞くと「楽しかった」と。
もう泣かなくなったそうです。
それからコーヒーを飲んで、すぐにまた言語の勉強を始めたそうです。
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