失語症者向け意思疎通支援者養成講座

失語症者向け意思疎通支援者養成講座1回目に参加しました。

各都道府県で実施されている講座です。

必修基礎コース(全9回 40時間)の1回目を受講し来ました。

講師は私が住んでいる県の言語聴覚士会の会長さんでした。

募集人数20人のところ、今回は28人の申し込みがあり、1名都合が悪くなったことを除き27名全員が受講生となりました。

募集人数よりも多くの人数が申し込みされていたことに驚きました。

来られている方は、医療従事者の方や、介護士、障害者施設で働かれている方、私のように家族に脳卒中の方がいて、失語症を見てきた方。などでした。

講座の目標

養成目標

失語症者の日常生活や支援の在り方を理解し、1対1のコミュニケーションを行うための技術を身につける、さらに、日常生活上の外出に同行し、意思疎通を支援するための最低限必要な知識及び技術を習得する。

到達目標

失語症者との1対1の会話を行えるようになり、買い物・役所での手続き等の日常生活上の外出場面において意思疎通の支援を行えるようになる。

片手が使えず、書くことも出来ず、話すこともできないということ

座額が基本ですが、講座の中で、隣の人とペアになって2通りのことをしました。

1通り目は

順番で、一人が片麻痺の失語症者役になり、先生が黒板の裏に書いた内容を伝えるというものでした。

勿論相手には見えないようにこっそりと黒板の裏を見に行きます。

私が失語症の役になったときは「今年は緊急事態宣言と雨で外出できず退屈です。」という内容でした。

その文言を確認して、「えーーーー!」と他の方々とどうしよう、どうしようと言っていました。

まず、「今年」ってどう伝えたらいいの?失語症なので、文字が出てこず書けない、頭でわかっているけどどう発音すればいいのか分からず話せない中では「今年」を伝えることも難しいんですね。

今年は無視して伝えることにしました。

「緊急事態宣言」はコホン、コホンと咳をする真似をしたり、マスクを指さしたりしましたが、

「体調が悪いの?」「コロナ?」までは伝わったのですが、「緊急事態宣言」までは伝えられませんでした。

「雨」は手で雨が降っているジェスチャーをしたら、先生に両手使ってると注意されてしまいました。

片手で雨が降っているジェスチャー、や傘を持っている動作をして、「雨」は伝わりました。

「外出」腕を振って歩いてるジェスチャーをしましたが、なかなか伝わらなかったです。

「退屈」は私の演技力で伝えられることができました(笑)

伝わらなかったときは、もういいやと諦めたくなりました。

先生からは、

失語症の方々は話そうとしても伝わらないし、伝えられなくて自分の伝え方を責めてしまい、しんどい思いをされいるとのことでした。

2通り目は、

ペアの二人ともが失語症者で、お互いに趣味の話をしてください。というものでした。

私には趣味らしい趣味がないので、音楽を聴くくらいかな、と、

イヤホン付けてリズムを取る素振りをすると、相手の方が頷いて分かった合図をしてくれました。

相手の方は、芽があって、じょうろでお水をかけてお花が咲くジェスチャーをされたので、園芸だなとすぐに分かりました。

先生から、話を深めていってくださいね。と言われ、

ジェスチャーで、種から植えるのか、芽から植えるのか、聞きました。

種ではなく、苗を買ってきて、苗から植えるジェスチャーが帰って来ました。

手でチューリップを作って(両手を使ったかもしれません)その花はチューリップか聞きました?

相手の方はうん、うんと頷き、合っていると示してくれました。

しかし、他のお花なども聞きたいし、ちゃんと育てるの難しくないかとか、色々聞きたいのですが、ジェスチャーで伝えるのが難しくて、それ以上聞く気になれませんでした。会話がそこで止まってしまいました。

先生から、

失語症者はもどかしさ、しんどさから、話を短くしようとする。話していて楽しくなくて、雑談が出来ないのだと聞かされました。

6月10日で発症1年を向かえました。

兄が脳出血を発症し、片麻痺、失語症の後遺症を患って1年になりました。

昨年は兄にとっても、家族にとっても激動の一年でした。

兄は利き手が使えなくなり、左手で文字を書いたり食事をとったり、何をするのも左手になりました。

そして、話すことが困難になりました。

私も、家族も初めてこのような後遺症を知り、向き合うことになりました。

講習を受けて、よく1年間、塞ぎ込まずに前を向いて笑顔を忘れずに堪えてくれたんだなと、兄のことを改めて尊敬しました。

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コメント

  1. はじめまして
    私は言語聴覚士の養成校に通う学生です。
    失語症の症状について情報収集をしているときに、偶然こちらのブログを見つけました。お兄様が脳出血を発症された当時の戸惑い、お兄様の懸命なリハビリ訓練の様子、お兄様を支えるあたたかいご家族、そのすべてが尊く、ブログを読んでいて、勉強になると同時に胸が熱くなりました。
    まだ私は学生の身分ですが、失語症当事者の方の良き伴走者となれるよう、言語聴覚士の勉強をより一層頑張っていきたいと思いました。
    貴重な思い出を共有してくださりありがとうございます。
    これからもブログの更新を楽しみにしています。
    お兄様、リハビリ、笑顔でがんばってください!

    • あおいさん、コメントありがとうございます。
      私も、あおいさんのコメントを読ませていただいて胸が熱くなりました。

      失語症当事者や家族はある日突然脳出血を起こし初めてこの後遺症を知り、右も左も分からず、とても戸惑い不安になります。
      昨日まで楽しく話していた家族とある日突然話すことが出来なくなります。
      ゆっくりでないと分からない、短く切らないと分からない、話すことも困難になると先生から説明を受けます。そして、麻痺もあり、車椅子での移動。右腕、手も動かなくなります。
      本人の悲しそうな表情を見ると家族はなんとかまた話せるようになって、笑顔を取り戻してもらいと切に願います。

      そんな中で、言語聴覚士さんや理学療法士さん、作業療法士さんは頼もしい存在でした。
      あおいさんもきっと、家族や当事者の方の心に寄り添える素敵な言語聴覚士さんになられることと思います(^^)/

      ブログ更新頑張ります!( ;∀;)
      YouTubeの方が更新頻度は多いのですが( ;∀;)

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