失語症軽症な当事者の方との会話
7月25日(日)失語症者支援者養成講座では、失語症当事者の方々が来ていただいて、実際にコミュニケーションを取るという講座でした。
受講者1人もしくは2人に対して、当事者の方が1人で会話をしました。
私は、もう一人の受講者の方と、当事者の方と3人で会話をしました。
お話させていただいた当事者の方は、年齢は48歳の女性で、比較的軽症で、コミュニケーションを取るのに困難さを感じませんでした。
まずは自己紹介をしました。
名前、年齢、住まい、好きなことや、発症した時のこと、後遺症の状態、困っていること、されて嫌だったことなどを聞きました。
発症時の様子
この方は、兄とだいたい同じ時期の昨年の5月にくも膜下出血を発症され左脳に損傷を受けたそうです。
お仕事は放課後デイサービスの職員をされており、コロナで学校が休みだったので、お子さんの様子を伺うため、各ご家庭に電話を架け様子を聞いていた時だったそうです。
電話をしていたら頭が痛くなり、切電することを了承いただき、切電し、同僚にちゃんと話せていたか確認をされ、その後トイレで倒れ救急車で運ばれたそうです。
今の後遺症の症状は右手の感覚障害と失語症があります。
一人暮らしで、講習会まで電車に乗り一人で来られました。
会話でコミュニケーションを取るとき、たまに言葉が出て来なくて少し考える様子がありましたが、割とすぐに言葉が見つかり、会話に問題を感じませんでした。
また、他の当事者の方々のことを受講者がみんなに紹介するという時間がありましたが、この方は内容を書いて見せるなどの介助の必要も無く、頷いて話を聞いていました。
失語症で困っていること
勤務先でのこと
現在はリハビリ出勤で、週に1日、2日出社されているそうです。
朝の挨拶や帰るときの挨拶などの言葉がすぐに出てこないため、タイミングを逃してしまうこと。「さようなら」と言われても、すぐに返事が出来ず、挨拶出来ないまま去って行ってしまう。
この方は放課後デイサービスという施設で子供と接するお仕事をされています。
そこには、話すことが困難な子供や、登校拒否で学校に行けていない子、自閉症の子など色々なんらかの問題を抱えた子供たちがいます。
そこで、話すことが困難な子とは、ジェスチャーなどでコミュニケーションを取り、この方の気持ち的には負担は無いそうなのですが、逆にお話が出来る子の方が困っているそうで、
話しかけてくれても、すぐに返事をしたり、言葉を返してあげたり、逆に質問したいのに、すぐに言葉が出てこないからだそうです。
登校拒否で学校を休んでいる子に「なんで学校が嫌なの?」と声を掛けようとしたけど、言葉が出て来なかったのだそうです。
相手は子供ですから、失語症なんだよと説明しても分からないですよね。
携帯ショップで
携帯の機種変更時の説明を受ける時は、モンゴル人の帰国子女に成りすましているそうです。そうすると、簡単な言葉でゆっくり説明してもらえるのだとか。面白いですよね。
英語圏や中国語、韓国語だと話せるスタッフがいるだろうけど、モンゴルならいないだろうと思われてのことだそうです。ちなみにこの方、昔役者をされていたとのことで、モンゴル人の帰国子女役も抵抗ないのでしょう。
失語症は認知度が低いので、失語症の説明をするくらいなら、日本語が話せないふりをしてしまおうと思いついたそうです。
携帯の説明は長くて、プランの内容など、私は失語症でなくても、途中で分からなくなってしまいます。
長い文章と数字
発症前は読書が好きだったそうですが、失語症になって、長い文章を読むことが困難で、発症前に読んでいた本の続きが分からないままで気になっているそうです。
数字は苦手な人が多かったです。
エレベーターで自分で行きたい階を押すときは問題無いのですが、人に聞かれて言う時に行きたい階と違う階を言ってしまうのだそうです。
右手の感覚障害について
麻痺ではないので、右手でペンを持ち字を書いたり、箸を持って食べたりはされていました。
持てるのですが、感覚が鈍いため、書き辛さはあるそうです。
困るのが、レジなどで、小銭を出すときに、小銭を掴むのが難しいそうで、支払いに時間がかかってしまうそうです。
後ろに人が並んでいないときはいいのですが、後ろに人がいる時は、「すいません。」とお詫びしているのだそうです。障害を負って謝ることが増えたという話はよく聞きます。
私もコンビニなどで列に並んでいる時、前の人がもたもたしていて自分が急いでいるときだと、イライラしてしまうのですが、こういう事情を抱えている人もいるのだと知っていると違う気持ちで待てるのではないかと思いました。
見た目では分からないから
兄もですが、杖をついたりしていないと、見た目が普通なので一目ではハンディキャップがあることに気づいてもらえません。
私にも言えることですが、レジで時間がかかっている人や、挨拶が返ってこないことがあっても、ひょっとして、と少し思いを巡らせてみたいと思います。
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